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「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」中間とりまとめについて 中古住宅の流通活性化を目指した研究会にて中間とりまとめを発表

2012年10月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

国土交通省では、「不動産流通市場活性化フォーラム提言」(当「国土交通省最新の動き」VOL.45参照)を踏まえ、不動産流通市場における情報整備のあり方を具体的に検討する場として、多方面の有識者からなる「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」を設置し、7月以降4回にわたる議論を重ねてきました。本研究会での議論をもとに、平成24年9月7日『「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」中間とりまとめ』を発表しましたので、ご紹介します。

平成24年6月28日にとりまとめられた「不動産流通市場活性化フォーラム提言」においては、消費者が住宅を購入する際に感じる建物の品質等に対する不安を少しでも解消できるよう、住宅性能など市場流通時の物件情報の充実や、修繕履歴など住宅に係る情報ストックの整備を行い、消費者が様々な情報にアクセスしやすい環境を整備する必要があるといった指摘がなされました。

そこで、本研究会においては、その具体的な方策を検討するため、以下2つの論点を中心に議論が行われました。
・不動産に係る情報ストック整備のあり方に関する基本的な課題と方向性
・レインズの運用を通じた情報の提供及び活用のあり方

指定流通機構(レインズ)については、「指定流通機構とは?」参照

情報整備に当たっての検討課題

情報整備に当たっての特に重要な検討課題として、主に以下の6つの点について議論が行われ、一定の方向性がとりまとめられました。

(1)不動産流通促進の観点に立ち収集・整備が必要となる情報項目
(2)分散している不動産取引に必要な情報に関する集約の可能性と方法
(3)成約価格等の情報共有の是非と方法
(4)修繕記録等の既存の住宅履歴情報と、新たな情報集約機能とのリンクのあり方
(5)事業者を通じた消費者への情報提供のあり方
(6)レインズ機能の充実の必要性

情報整備に当たり共有すべき理念

議論は市場の実情を踏まえた精緻なものとなりましたが、議論の前提として、今後不動産流通市場における情報の整備・提供を進め、透明性の向上を図るに当たっての理念が、関係者に共有されました。
まず、個々の取引に即してみれば、情報整備が進むことにより、買い主はこれまで以上に安心して中古住宅を購入できるようになり、また優良な中古住宅の差別化が図られ、売買価格の上昇につながる物件が増加することにより、売り主にとっては売却収入の増加、事業者にとっては仲介手数料の増加につながるといった効果が期待されます。
また、不動産流通市場全体で見れば、中古住宅市場に対する信頼性の向上、物件の差別化による淘汰に基づく中古住宅の品質の向上、またこれまで中古住宅を検討対象としていなかった消費者が中古住宅を購入するようになり、市場規模が拡大することが期待されます。
以上のように、不動産流通市場における情報整備・提供の充実を進め、透明性の向上を図ることは、消費者、事業者、そして日本経済全体にとって有益な、いわば三方一両得なことであり、関係者間の連携により総力を挙げて取り組むことが望ましいことが確認されました。

今後の取り組みについて

以上のような議論を踏まえ、今後、情報ストック整備の具体的なシステムに関する検討は、平成25年度において予算措置を講じて専門的見地からの調査・研究を行い、システムの基本的な構想を策定していく予定です。またレインズの運用のあり方についても、国、レインズ、流通関係団体等の実務に精通する関係者により、引き続いて検討・調整を続けることが必要とされました。

国土交通省においても、消費者の皆さまが安心して中古住宅の取引を行えるよう、行政機関が保有しているハザードマップや不動産の成約価格に関する情報等、消費者の皆さまの関心の高い情報を集約し、それらを適切に提供できる体制を検討していくとともに、消費者の皆さまが住宅の履歴情報等を蓄積・活用しやすい制度作りを進めていきます。

現在、住宅をお持ちの皆さま、あるいは住宅の購入を検討されている皆さまにおかれましても、今回とりまとめられた考え方や今後整備が予定される新たな制度を活用・共有いただき、住宅の図面やリフォームの履歴、診断・点検記録といった情報を積極的に蓄積し、将来の売却に当たりそれらを事業者・買い主に提供できるようにしておくことで、住宅の資産価値を高め、ひいてはライフスタイルに合わせたスムーズな住み替えが可能となることを期待しております。

※執筆の内容は、2012年9月末時点によるものです。

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